今宵は、ある旅人が九州、阿蘇の神々しい場所にて月光浴をした時の話をしよう。

そこは阿蘇の外輪山をよく見渡せ、あたり一面が、だだっ広い草原の小高い丘にある。

いくつかの岩がそこに顔を出し、ストーンサークルを創っている。

中心の大きな岩へ磁石を近づけると方角が狂ってしまう。

そう、そこは磁場である。

まんまるお月さんが、暗闇を明るく照らす。懐中電灯など必要ない。

静かな夜空は雲ひとつなく晴れ渡り、今宵ばかりは星達の出番はない。

お月さんの一人舞台だ。黄色く光る月の周囲に、うっすらと輪ができている。

幻想的だ。ず～っと見ていると吸い込まれそうになる。

そんな夜を祝うかのように音が聞こえてくる。

ある者は太鼓を叩き、ある者は口琴を鳴らし、

ある者は、笛を吹き、ある者は弦をかき鳴らす。

またある者は唄い、踊る。

一方で、またある者は瞑想し、語り合い、そしてまたある者は寝袋に包まり夢を見る。

みんな、まんまるお月さんの光の下で、

それぞれが、それぞれの時間を過ごす。

まんまるお月さんが照らし出す、

同志達との、ゆっくりとした、静かで、平和な夜。




今夜は十五夜。中秋の名月。

月見団子でも頂きながら、秋の夜長を楽しみますか。






ゆめみしで　良い夢みよし　かめおかてん